トップ > 弁護士 川端 さとみ > ウィーン便り VOL.4 ウィーンでは電車の乗り方にご注意!

VOL.4 ウィーンでは電車の乗り方にご注意!

皆様、夏休みはいかがお過ごしだったでしょうか。夏休みが終わり、子どもの学校が始まって、ホッとされている共働き世帯も多いのではないでしょうか。我が家は、研修所時代の教官や友人家族がウィーンに遊びに来てくれたので、一緒にウィーンのあちこちを観光し、ウィーンにどっぷり浸った夏休みでした。特に印象深かったのは、美術史美術館、オペラ座(ウィーン国立歌劇場)ガイドツアー、ブドウ畑の中のホイリゲ、ヴァッハウ渓谷でのドナウ川下りです。第二次世界大戦の戦火でウィーンの街はかなり焼けてしまったのですが、オペラ座などをはじめ、当時のまま再建されている建物も多く、当時の雰囲気の街並みが残されています。そして、一歩街から出ればウィーンの森が広がります。あらためて、ウィーンは、ハプスブルク家の素晴らしい文化的歴史的遺産とともに豊かな自然に囲まれた美しい街だとの思いを深くしました。夏季は休業中のオペラも、9月から新シーズンが始まり,来年の6月末までほぼ毎日上演されます。オペラ座ガイドツアーはオペラを鑑賞した後に参加すると舞台裏はこうなっているのかと面白さが倍増すると思います。下の写真は美術史美術館内のカフェです。

 

美術史美術館内のカフェ

 

 

さて、ウィーンは比較的小さな街だとはいえ(人口は180万人ほど)、全てを徒歩で回るのは大変なので、観光には地下鉄やトラムなどの交通機関を利用する必要があります。ウィーンの地下鉄にはいわゆる改札がありません。手ぶらでホームに入り、地下鉄に乗り、そのままどこかの駅で降りて去っていくこと、つまり無賃乗車がいとも簡単にできてしまいます。ウィーンに限らず、ヨーロッパではこの無改札方式をとる国が多いので、ずんずん駅の中に入ってしまい、切符はどこで買うのだろうとまごまごしているうちに電車が来たので乗ってしまい、結果的に無賃乗車をしてしまったという日本人旅行者も意外にいるのではないかと気がします。トラムに至っては、路上の乗場に券売機がないので、どこで切符を買ったらいいのか見当もつかないと思います(実はトラムの中に券売機があるのですが、とても分かりにくいです。ちなみにバスは運転手から買います)。
しかし、これでは切符を買わずに乗る人が続出するでしょう。ウィーン当局は車内や駅の出入口での検札を抜き打ちで行って無賃乗車を摘発しています。車内での検札は、電車のドアが閉まり、出発すると同時に座席から突如私服の人が立ち上がり、おもむろに身分証明書を提示して始まります。初めての時は何かわからず、物乞いの人かと戸惑ったくらい突然でした。駅の出入口での検札は、写真のように通路に隙間なく係員が並び、通る人全ての切符をチェックします。

 

駅の出入口での一斉検札の風景

 

 

 

無賃乗車が見つかると、103ユーロの罰金を支払わなければなりません。その抑止力のおかげなのか、2015年のウィーンでは,790万人を検札して,そのうちの無賃乗車率はわずか1.8パーセントだそうです。ちなみに面白いのが、この抜き打ち検札は事前にホームページなどで予告されていることです。検札を事前に知ることで、該当路線で切符を買ってくれる人が増えることを期待して、とのことのようです。

 

ここまで読まれて、ホームに入る前に駅の入口で切符を買えばいいのね、と思われた方、それだけで安心してはなりません。もう一点重要なことは、買った切符を刻印機に通して、乗車日時を打刻することです。1回乗車券は打刻した乗車時から1時間以内ならば乗換も可能です。乗車券を持っていても,打刻していなければ無賃乗車と同じ扱いになり、罰金を払わなくてはなりません。また,実際にあったとても気の毒な事例として、1週間定期券を券売機で買った日本からの出張者が、翌週のチケットを間違って買ってしまい(1週間定期券は日時指定です)、そのことに気づかないまま、運悪く検札に遭い、罰金を支払わされたこともあります。旅行者だからよくわからなかった等の言い訳は通用しませんので、お気をつけください。

 

自動改札機を設置して無賃乗車を防止している日本と人力によるアナログな検札で無賃乗車を防止しているウィーン。設置や維持費に莫大な費用をかかる自動改札機と年間790万人を人力で検札するのとでは、無賃乗車率がわずか1.8%ならば、改札のないウィーンの方が効率的かとも最初は思ったのですが、ウィーンと東京大阪とでは、電車の混雑具合にあまりにも差があり、特にラッシュアワー時の東京大阪でウィーンのように車内や駅の出入口で検札するのは現実的ではないでしょうし、逆にウィーンのように人が少ないところで自動改札を設置するのは費用対効果が悪すぎるでしょうから、どちらの方が効率的ということではなく、それぞれの事情にあった方式を採用しているということなのでしょう。それにしても、ウィーンではラッシュアワーでも隣の人と身体が触れ合うほど混むようなことはほとんどなく、どの時間帯でもベビーカーで乗り込むことに躊躇しなくて済むのは、幼い子がいる世帯にとっては本当にありがたく、住みやすい街です。

 

一覧に戻る